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※16禁 むしこぶの薄桜鬼用出張版ブログ 女性向け・同人/意味が解らない方撤退推奨
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2024/05/19 (Sun)                  [PR]
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2010/10/20 (Wed)                  末っ子をあまやかす
土近沖なかんじ。おきたはこんどうさんが好き。
携帯でともだちに送ったやつ。舞台と一期アニメの11話だけ見てあとはうぃきぺでぃあさんとかを斜め読みしただけで書いているのでゲーム始めた今となっては偽物臭がすごい。とりあえず近←沖は間違っていなかったな、というかんじ。ちづちゃんはアニメ準拠ですけど別に出てきません。
舞台の土近沖がですね。すごかったんです。主に沖田がですけど。というかんじ。近藤さんはもっと沖田をかまってもいいのよ……

あ、ほのぼの?なかんじです。




++++++++++++++++++++

 縁側伝いに角を曲がり、土方は一瞬足を止めた。それからぐったりと横倒しに伏している見慣れ過ぎた少しばかり色の薄い頭に摺り足で素早く駆け寄り膝を突く。中庭を向いた顔は蒼白で、しかし薄く開いた唇からは微かに呼吸が洩れていた。
「……驚かすな」
 ほ、と肩の力を僅かに抜き、土方は立て掛けられた木刀と投げ出された腕を見た。寝ていろと言ったのに、寝床を抜け出して剣を振るっていたものらしい。大方咳の発作を起こし少し休もうと蹲って、そのまま昏倒するように眠り込んでしまったのだろう。起こして部屋へ戻れと叱りつけてやったほうがいいには決まっているが、しかし。
 土方はつと総司の唇へと手の甲を寄せ、呼吸が落ち着いているのを確認して羽織を脱いだ。冷えた肩へと掛ける。
 起こしたところで拗ねさせて嫌みな顔をされるのがおちだ。総司が素直に頷くのは、近藤の言葉だけだ。特にこの自分には、反発しかしない。
 自分の言葉に素直に頷く総司というのも気味が悪い、と唇の端で嗤い、土方は立ち上がった。今にも倒れそうだった木刀は、縁側へと引き上げて何かを抱くように丸めていた総司の腕の間へと差し込む。緩く開いていた手が、赤ん坊が縋るようにその柄を掴んだ。
 あどけなささえ感じる仕草に喉奥で僅かに笑い、冷え込む前には誰かに様子を見に来させて起こしてやったほうがいいな、と考えながら、土方は広間へと足を向けた。



「総司!?」
 茶を飲みたくはなったものの、先程洗濯物を干さなくてはとぱたぱたと駆けて行く姿を見たばかりの千鶴を呼び付けるのもどうかと自ら厨へと足を向けていた近藤は、倒れ込んでいる見慣れ過ぎた人影に慌てて駆け寄った。跪き、近頃とみに薄くなった肩へと手を掛ける。
「総司! 大丈夫か!?」
「…………近藤さん?」
 しっかと抱き起こすように肩を支えて縁側から落ち掛けているかのようだった躯を引き上げると、蒼白な顔のまま若い天才剣士は薄らと目を開けた。何故か木刀を抱いたままだ。
「どうした、具合が悪いのか」
「……眠っちゃったみたいですね」
 いつの間に、と呟いて軽く顔を擦り、総司は自ら起き上がった。近藤はほっと胸を撫で下ろす。
「心配を掛けてくれるな、総司。こんなところで眠っては躯に触るぞ」
「すみません」
「謝ることはないが、養生すべき時にはきちんと養生するものだ。そうでなくてはいざというときに躯が動かんぞ」
 はい、と少しばかり眩しそうに、見ようによっては嬉しそうに目を細めて殊勝に頷く総司に頷き返し、近藤は抱き起こした拍子に落ちた羽織を総司の肩へと掛けた。それからふと瞬く。
「総司。この羽織、お前のものか?」
「え? ……近藤さんのじゃ?」
「俺は着ているだろう。お前のじゃないなら、歳のか?」
「は? 何急に変なこと」
 怪訝というには険しすぎる顔でぎゅ、と眉根を寄せた総司に頓着せず、近藤は首を傾げた。
「歳が着ていた覚えがあるんだがなあ。しかし通り掛かったなら、起こしてくれればいいのにな」
「……千鶴ちゃんが、洗濯ものでも掛けて行ったんじゃないかな」
「雪村くんならそれこそ大騒ぎをして起こすだろう」
「土方さんが、なんて気持ち悪い。それよりはよっぽど可能性はあるでしょ」
「気持ち悪いって、お前なあ」
 まったく仲が良いことだ、と苦笑して、近藤は総司の腕を掴んで引き上げた。総司は素直に草履を脱ぎ、縁側へと上がる。
「兎に角、今日はもう部屋で休め。また胸が苦しくなってもかなわんだろう」
「そうですね……はい」
「後で雪村くんに薬を運んでもらおう。ゆっくり休め。今夜の会合には出なくても構わないぞ?」
「そういうわけにはいかない。これでも僕は一番組組長ですよ。それとも僕は用なしなんですか」
「そんなわけはないだろう」
 ぽん、と頭に手を乗せ、近藤は乱暴に撫でた。子供扱いに思えたか、総司が奇妙な顔で唇を曲げる。
「今日は大して重要な議題も予定していない。見回りの報告を受け、班の編成をするだけだ。後で内容は報せるし、何か重要な議題が上がれば呼び付ける。だからゆっくりしていろ。な?」
「………はい」
 仕方ないな、とばかりに小さく溜息を吐いて、総司は言葉ばかりは殊勝に頷いた。少し捻くれたような態度はいつものことだ。その言葉は掴みどころはなくとも、この青年は素直だ。昔からひとつも変わらない。
「さ、部屋へ戻れ。その木刀は、俺が戻して来てやろう」
「え、」
 一瞬ぽかんとし、今更気付いたとでも言うように右手に握った木刀を見て、総司は怪訝そうに首を傾げた。近藤はこちらも首を傾げ返しながら手を差し出す。総司はひとつふたつ瞬いて、結局何も言わずに木刀を渡した。
「ちゃんとあたたかくするんだぞ」
「判ってます。……あの、近藤さん。この羽織」
「ん?」
「土方さんに返してもらえますか」
「自分で返したらどうだ?」
 いやだ、としかめた顔にでかでかと書いて見せた総司にしようのない、と笑って、近藤は羽織も受け取った。
「総司が感謝していた、と言っておくぞ」
「ええ?」
「いやなら自分で返すんだな」
「……いじわるだなあ」
 まったく近藤さんは、とようやくに眉を下げて笑って、総司は受け取ったまま差し出す形になっていた羽織をもう一度引き取った。
「じゃあ、部屋へ戻ります」
「おう。ゆっくり休めよ」
「はい」
 失礼します、と少し他人行儀なほどに頭を下げながらも、その口調はどこか親しげなままだ。
 去って行く背中を痩せたな、と考えながら見送り懐手に腕を組んで、近藤はひとつ溜息を吐き木刀を戻すために踵を返した。
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